
投資心理の中に「天候」や「季節」の影響が出ていると言われることがあります。
このことは、経済の世界では、『根拠のない原因』と言われていますが、日常の買い物と同じ「消費者心理」と近い側面があるため、その影響力は無視できない程度と考えても良いでしょう。
先ず、天候や季節での「消費者心理」を考えてみましょう。
スーパーやコンビニでは、天候や季節によって商品の売れ筋が大きく変わります。
例えば、一日中雨が降る日の売上は、晴天の日と比べて落ちます。
これは、消費者が買い物に出かけるのが億劫になるという心理が働くからです。
大型スーパーに出入りする人を大きく左右する天候と季節
郊外型の大型スーパーを調査すると、その差は歴然です。
晴れの日には、両手に大袋を持って歩く家族を良く見掛けますが、雨の日は、客入りは疎らで、買い物袋を持つ主婦は片手にレジ袋、もう一方は傘を差しています。
小売業には、天候は、大きな経済的な影響があります。
また、季節の差は大きく出ます。
これは売れる商品の差が現れます。
勿論、夏場は炭酸飲料やスポーツドリンク、氷菓が良く売れます。
逆に冬場は、おでんや鍋の具材が良く売れます。
家電量販店でも夏場は扇風機やエアコン、冬場はヒーターを売っています。
勿論、年間行事の影響も大きく出ます。
クリスマスシーズンは、玩具やケーキが売れ、ゴールデンウィークには、海外旅行のパッケージツアーが売れる訳です。
季節による影響は、毎年のように起きる事象ですが、少しでも平年とブレて来ると、経済への打撃は少なくはありません。
大きな影響は、冷夏や暖冬です。
冷夏になると、ドリンクやアイスの類の売上が急激に落ちます。
エアコン、扇風機の売上にも大きく影響し、秋口には驚くような価格で在庫処分されるケースを良く見かけます。
逆に、平年より暑い夏になると、盆明けには、エアコンや扇風機が売り場から消え、「展示品限り」の札を見るようになります。
つまり、天候や季節は、経済への影響力が大きく、投資への面でも多少なりとも影響が出ることには違いありません。
投資法として研究されているアノマリー投資
株式投資で天候や季節による影響を調べている研究報告があります。
その研究報告によると、株価が上昇する割合は、晴れの日と曇りや雨の日では、晴れの日が高いという結果が出ています。
晴れの日は56.4%に対し、曇りや雨の日は51.0%でした。
つまり、晴れの日に株価が上がる確率が高い傾向があるのです。
また、晴れの日の株価変化率は+0.08%に対し、曇りや雨の日は-0.02%となっています。
この数値を見ると、天候の影響は、意外と無視できないのかも知れません。
一方、国内投資に関しては、「鯉のぼり天井」や「節分天井、彼岸底」と言われる現象があります。
これも多くは『根拠のない理由』ではありますが、「アノマリー投資」という投資法として研究されています。
過去10年、1日毎の日経平均株価の変動を追うと、不思議と11月頃から株価が上昇し出し、2月で一旦頭打ち、再度3月中旬頃から上がりだして5月に頭打ちになります。
その後、株価が9月頃まで下がり続け、再び11月から上昇を始めるという傾向があります。
当然、その年、その年の政治の動きや経済状況の影響にも出ますが、過去の経験を考えると、そういった経験則があることには違いありません。
正直、株価には天候や季節による影響がある話は、確実な根拠がある話ではありません。
しかし、長年株式投資を続けて来た投資家の経験則として「鯉のぼり天井」や「彼岸底」と言われる言葉があります。
過去の数値データを取っても、明瞭な結果が得られる訳です。
つまり、天候や季節の影響は、投資心理において、無視できない影響力があると考えられます。
まとめ
投資心理として「天候」や「季節」の影響があると言われている。
この影響は、『根拠のない原因』としてあまり注目を浴びないが、投資家の長年の経験則から、「鯉のぼり天井」や「彼岸底」といった言葉があります。
また、「アノマリー投資」という投資術としても活用され、投資心理において無視できない部分であると考えられます。
数値データを取っても、その影響力は目に見える形となっています。
短期・中期投資を行う場合、この投資心理は、知識として抑えておく必要はあるようです。