障害者でもお金を借りることができるのか
「ほんと、モンスターも強くなってきて一筋縄ではいかないわ」
「あとひと踏ん張りだな!!」
勇者たちの過酷な旅も佳境を迎えていた。
魔王の城に近づくにつれ、街は少なくなり、魔物も増えてくる。
そんな時だった。
「おーーーい! 勇者さまーーー!!!」
「ん?誰だろ?」
「目の前にいるおじいさんが凄い手を振っているわよ」
「勇者様!ようやく合流できましたぞ!!」
「ああ!貴方は隣の家に住むおじいさん!こんなところで何やってるんですか」
「何を言っとるんじゃい。わしも勇者様のお力添えになろうと後を追ってきたに決まっておる!」
「えっ、じいさん戦えるのか?」
「任せるがよい。これでも若い頃は百戦錬磨の虎と恐れられた剣豪よぉ!」
「へぇ、頼もしいわね」
「でも、おじいさんって前に戦いで怪我をして、右足が動かないんじゃなかったっけ?」
「それくらいはどうにかなるじゃろうて」
「そ、そうかなぁ…」
「じいさん、片足動かないのによくここまでこれたな」
「ふふふ、それはちょっくら金を工面して、船に乗り、遠乗り馬車に乗り、ここまで連れてきてもらったのじゃ!
最近の消費者金融っていうのは障害者でも安定した収入があれば金を貸してくれるものなんじゃぞ。というか、契約内容を自分で読んで理解できれば障害者だろうと貸してくれるのじゃ!良い世の中になったものじゃ」
「へぇ、なんとなく障害者ってだけでダメそうなイメージなのに消費者金融って優しいのねぇ」
「それは、同じ人なんだから差別することの方がおかしいからね」
「さぁ!いざまいろうぞ魔王討伐へ……っ!?」
グキッ!
「あ、なんかいま凄い音がしたわよ…」
「じいさん、腰から凄い音が…」
「だ、大丈夫ですかおじいさん…」
「おっ、おっ…こ、腰が…!!ぎっくり腰が…!!!」
「あーあ…どうするのよ…」
「おい、勇者…」
「う、うーん。おじいさん、力になってくれる気持ちは嬉しいんですけど、腰を痛めちゃったみたいだし、おじいさんにもし何かあったらおばあさんが悲しみますから。この、街まで一瞬で帰れる魔法の道具をあげますので、街でぼくらの帰りを待っていてください」
「ううう、かたじけない。この腰では剣が振るえぬ…」
「じいさんの代わりに俺がばっちり魔王を叩きのめしてやるからよ!」
「私も、華麗な魔法攻撃で援護しちゃうんだから」
「勇者様にはこんなに立派なお仲間がおるんじゃのう、老いぼれは出る幕ないのう」
「ここまで来てくれただけでもやる気が満たされました!ありがとうございます!!行って来ますね!!」
「ああ、必ず魔王を倒して無事に帰ってくるんじゃぞー!」