お金を借りる
このエントリーをはてなブックマークに追加

10万ゴールド借りて作った衣装で、今は強い勇者になった

勇者の成功

 

「おお、勇者よ。死んでしまうとは情けない!」

教会の神父様の聞き慣れた声とセリフで勇者は目を覚ました。
何度全滅してこの教会に運ばれてきたか。もうわからない。

「だいたい、装備が悪いわよ、装備が!」
「確かに。いくらなんでも、ひのきの棒とお鍋のフタだけで、強いモンスターに挑む方が間違ってるんだ」
「私なんて武器すら持たせて貰えてないんだから」

文句を言うのは勇者の仲間である魔法使いの女と戦士の男である。

「そうは言っても。王様から定期的にもらえるお金だけじゃ、君たちを雇うのに払う分でほとんどなくなっちゃうんだよ。全滅すれば生き返させるのにもお金かかるし……。良い装備なんて買ってられないよ」
「あーあ、なんでこんな貧乏勇者に雇われてんだろ」
「ほんと。私は魔王を倒せば将来安定しちゃうくらい有名になれるっていうから魔法使いやってるのに。宿屋にでも転職しようかしら」
「そういわずに。地道にレベルアップすれば、弱い装備でもモンスターに勝てるし。モンスターを倒せばお金は手に入るからそれで良い武器買おう!」

不満たらたらの戦士と魔法使いを勇者は必死に宥めるが、二人の機嫌は治らなかった。

「せめて銅の剣くらいは用意してくんないと次はもう行かないぜ」
「そゆこと。じゃーねー!」

勇者は困り果てながら家への道を歩いた。その足取りは弱々しい。

「困ったなぁ。お金はそんなにないし。かといって僕みたいな貧乏勇者に、他の人がついてきてくれるとは思えない。どうしたらいいんだ……」

人通りの多い道で立ち止まって空を見上げる。すると、街角に【お金貸します】という看板が目に入った。

「あれは、お金を融資してくれるところか。勇者なのに利用するなんてって思ってたけど、僕でも借りれるんだろうか?10万ゴールドもあればみんなに良い装備を揃えてあげられるだよなぁ」

勇者は藁にもすがる思いで店のドアを開けた。

 

b45d111b47582271e9c9f6ec4d0f90f9_s

〜後日〜

「みんなの装備、ちゃんと揃えてきたよ!」
「すげぇ!ドラゴンすらも一撃で殺すっていうドラゴンの剣に、はがねの鎧」
「私のも凄いわ!賢者の杖に魔法使いのための高級ローブ…。これ、すごく高いのよ」
「どうしたんだよ、こんないきなり」
「ははは、ちょっとね…。みんなのために僕、がんばったんだよ」
「これなら、どんなモンスターも怖くないわね!」

それからの勇者たちの活躍は素晴らしいものになった。

「あの時、10万ゴールドを貸りて本当によかった。強い装備で全滅することもなくなったし、モンスターをどんどん倒せるからお金も手に入るから返済にも困ってないから。僕は王様の雇われ勇者だからちゃんと収入もあるって審査も簡単だったのも助かった。もっと早く利用してればよかったよー」

こうして勇者たちは、いまでは魔王を倒すのも近いと言われるほどにまでなったのである。


このエントリーをはてなブックマークに追加